誰もが知っている桃太郎・金太郎・浦島太郎の昔話。
実は、現在伝えられている昔話には、原作と言われている物語が、遥か昔から存在するのです。
大人になった今だからこそ、元となった話を知りたくなってしまいますよね?
桃太郎のモデルは?原作は?
桃太郎の昔話は、いつ・誰が作った物語なのかは分かっていません。
室町時代の末期頃には、今の桃太郎の原型ができていたと言われています。
桃太郎の昔話の原作は「古事記」に記載されている「イザナギ・イザナミ伝説」からきているとされており、桃太郎のモデルは「孝霊天皇(こうれいてんのう)」の三男である「吉備津彦命(きびつひこのみこと)」であるという説が最も有力です。
又、舞台となったのは「吉備(きび)の国」で現在の岡山です。
岡山は、桃太郎も有名ですし、きびだんごの発祥の地というのは皆さまもご存知だと思います。
それらの事を念頭に置き、下記のお話をお読み下さい。
桃太郎の昔話は「イザナギ・イザナミ伝説」と「温羅伝説」が元?!
イザナギとイザナミは「国生み」を命じられた神様で、イザナギという男神、イザナミという女神です。
淡路島や四国を初めとする大八島(日本列島)を造り、様々な神様を生んでいきました。
イザナミが最後に生んだのが火の神で、やけどが原因でイザナミは死亡してしまいます。
イザナギは妻の死を悲しみ、黄泉の国までイザナミを迎えに行きます。
二人は再び出会い、イザナミと「地上に戻るまで決して振り向かないで」という約束をして、元の世界に帰ります。
しかし、イザナギは途中で振り返ってしまいます。
するとそこには、腐り果てた、醜い姿のイザナミがいたのです。
妻の変わり果てた姿に恐怖を感じたイザナギは、イザナミから逃げ出してしまいます。
夫が自分の姿を見て逃げ出した事に怒ったイザナミは、イザナギを追いかけます。
イザナギは「黄泉比良坂(よもつひらさか)」という、あの世とこの世の境目にある坂で、一本の桃の木が生えている事に気づき、その桃の実をイザナミに投げつけました。
すると、イザナミは退散し、イザナギは逃げきる事ができました。
その後、イザナギは三人の皇子を授かり、その一人が「スサノオ」またの名を「吉備津彦命」と言います。
*イザナギが「孝霊天皇」とすると、その息子のスサノオが「吉備津彦命」となります。
又、イザナギである「孝霊天皇」が桃の実に助けられた事から、息子である「吉備津彦命」と「桃太郎」に関連性がでてきます。
下記からは「温羅伝説」についてご紹介しますね。
ある時、百済(くだら)から温羅(うら・おんら)と言われる鬼神が、吉備の国にやってきます。
その姿は、目はギラギラと光り、髪は赤く、身長は4mもあります。
温羅は、百済(古代朝鮮半島南西部にあった国家)の元王子でしたが、吉備の国に「鬼の城」を作って棲みついてしまいます。
女性や子供をさらい、自分に逆らう者は窯で茹でる等、様々な悪事を働きます。
その鬼の様な温羅を倒したのが、大和朝廷から派遣された「吉備津彦命」です。
*「吉備津彦命」=桃太郎、「温羅退治」=鬼退治となります。
ご紹介した「イザナギ・イザナミ伝説」と「温羅伝説」で、「孝霊天皇」「桃の実」「吉備津彦命」「鬼退治」の全てが、昔話の桃太郎と繋がっていますよね。
金太郎の原作とは?
金太郎のモデルは、源頼光の家来である「坂田金時」とされています。
金太郎は、幼少の頃に父親を亡くし、母親と2人で暮らしていました。
成長した金太郎は、足柄山でクマと相撲ができる程、力の強い男の子になりました。
ある日、足柄峠で源頼光と出会い、その力量を認められて家来となりました。
その際、坂田金時と改名し、京にのぼり頼光四天王の一人となったと言われています。
上記が、金太郎の原作とされていますが、坂田金時が実在しなかったという説もあります。
浦島太郎の原作とは?
浦島太郎は、謎が多い昔話の一つです。
現在の浦島太郎に似た話は、8世紀の文献である「日本書紀」「丹後国風土記」に記載されているのが最古です。
7世紀の日本の文人「伊預部馬養」による創作という説と、実在の人物の実体験に基づく伝説という説もあります。
この様に、ほとんどの事が解明されていない浦島太郎ですが、その物語も昔話らしくないバッドエンドで謎が多いですよね。
『助けた亀に連れられて竜宮城へ招待され、乙姫と夢の様な時間を過ごした後、乙姫に「開けてはならない」と言われた玉手箱を開け、老人の姿に変えられてしまった』という話ですよね。
「どうして亀を助けたのに老人になってしまったのか?」と疑問に感じる方は多いと思います。
これは、「今まで育ててもらった親を忘れて、竜宮城で遊び耽っていた事への罰」や「乙姫と、玉手箱は決して開けないと約束していたにも関わらず、その約束を破った戒め」と言われています。
最後に
今回は、桃太郎・金太郎・浦島太郎の原作の諸説についてご紹介しましたがご参考になりましたか?
これらの昔話には解明されていない事がたくさんあり、原作となった話も一つではない事が多いです。
しかし、昔読んだ桃太郎・金太郎・浦島太郎とは、少し違った解釈ができる様になったと思いますので、ぜひ他の楽しみ方をしてみて下さいね。
最後までご覧頂き、ありがとうございました。